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  • S.Yamauchi

村野藤吾設計「箱根樹木園休憩所」

更新日:2021年11月16日


先日、神奈川県箱根にある村野藤吾先生設計の「箱根樹木園休憩所」に行ってきました。この建物は是非見ておきたいと思っていた建物で、事前に現存するか情報を集めていました。SNS上で7年程前に紹介されていた記事がありましたが、現在も現存しているかどうか分からないまま訪れてみました。箱根プリンスホテルから湖畔沿いに10分程歩いたところにある九頭龍の森(九頭龍神社)の敷地内に現存していました。受付で入場料を払い

森の中を数分歩くと見えてきました。


設計メモ 

1971年 西部グループの国土計画が芦ノ湖東岸53haの土地に整備した箱根樹木園に立地する休憩・レセプション施設。外観の特徴は木々の間から姿をのぞかせる茅葺の3つの円錐形屋根の建物。江戸時代に砂糖を特注品としていた讃岐地方にみられた小屋「砂糖しめ小屋」を本歌取りしたものといわれています。この建物のインテリアは昭和天皇が来訪を念頭に設けられた特別室など職人の手仕事の粋が凝縮されたものだといわれています。素朴さと気品をそなえた建築であると。



九頭龍の森 入口 ゲート

敷地内に案内の看板等はなく、受付にて場所を尋ねて、湖畔の森の奥に数分歩くと見えてきました。人の訪れるコース上にはなく、周囲も荒れ果てていました。まずは現存していたことに安心は致しましたが。



建物に近づくと、とても荒廃している状況です。円形平面に茅で葺いた円錐屋根がかけられて、地面から生えでたかのように裾を広げた外壁がつくる姿は自然の景色には溶け込んではいましたが、茅の下地の鉄製の垂木部があらわれた状況でとても悲しい状況でした。



建物は正三角形状に3つの円形平面の部屋が独立して配置され、柱と壁に施された「鉄平石砕石モルタル塗り込め」仕上げが独特の味わいを出していました。



表玄関の木製両開きとも破損が激しく悲惨な状況です。玄関前室上部の屋根が雲のように

軽やかな仕上げが特徴的です。




1971 村野・森建築事務所 村野藤吾のプレートと照明




室内はガラス越に撮影したものです。ここは食堂のようです。放射状に垂木をかけ、目透かしに檜材を張っていますが、内部もかなり荒廃しています。奥に貴賓室が見られます。


今回の個人的な調査で感じたことは、早急になんらかの形で村野氏の貴重なこの建物を

再生していただきたいものだと切に願います。また、そのことをここを管理されている方に

要望していきたいと思います。




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